「熱でもあるんでしょうか!?」
棗くんの額に触れれば、さほど熱くはない。
あれ、熱は無いみたいだけど……。
首を傾げていると、棗くんは「クスッ」と笑った。
「心配性なお姫様、ちょっとお腹が痛いだけだから、安心して?」
そう言って、ポンポンと頭を撫でられる。
まるで子供を宥めるような仕草に、ボッと頬が熱くなった。
「なっ、棗くん!!」
お姫様って……私のこと、絶対にからかってるよ!!
「ハハッ、ほら歯磨きしておいで。俺が洗っておくから」
講義するように名前を呼べば、棗くんは楽しそうに笑う。
良かった、私の早とちりみたい……。
ホッと胸をなでおろして、私は洗面所へと向かった。


