「今日は色々あって疲れたでしょ、ベッドで休んで?俺も、風呂に入ってくるから」

「え!私はソファーで大丈……」

「女の子を、ソファーで寝かせるわけにはいかないよ」


そう言って、棗くんはさっさとお風呂場へ向かってしまう。

なんてことだ……まさか、ベッドを借りることになるなんて……。


「だって、棗くんのベッド……」


一人取り残されたリビングで、立ち尽くす。

ベッドは、まずいんじゃないかな……。

でも、棗くんに限って私を襲うなんてことは無いだろうし……。


「居候させてもらうんだもん、我儘は言わない。言われた通り休ませてもらおう」


そう決めて、私はベッドに入る。

すると、横になった途端にどっと疲れがやってきた。


今日は、本当に色々あったな……。

お父さんを残して、家を出てきちゃった……。


「お父さん……ごめんね……」


お父さんの姿を思い返せば、涙が出てくる。

それを隠すように、枕に顔を埋めた。