「……美羽、お風呂に入っておいで」
すると、そんな私を黙って見つめていた棗くんが、食事を終えた私にそう声をかけてきた。
「あ、すみません……」
何から何まで、本当にお世話になりすぎ。
私、棗くんに負担かけちゃわないかな……。
それで、必要無いって言われたら……私はどこへ行けばいいんだろう。
「ふっ、なんで謝るの?ほら、使い方教えるから」
「あっ、その前に食器を洗わなきゃ……」
「そんなの、俺がやるって。美味しいご飯を作ってくれたお礼だよ」
ニッコリと笑いながら棗くんは私を立たせ、その背中をグイグイと押す。
「えっ、でも私、居候……」
「ここは、もうきみの家だよ、美羽」
私の家だなんて……。
棗くんは私を気の毒に思って泊めてくれただけ、そこまで傲慢にはなれないよ。


