「うん、本当に美味しい。もうカップ麺なんて食べられないなぁ」
「ふふっ……ありがとうございます、棗くん」
私の作ったご飯をパクパクと食べる棗くんに、自然と笑顔が零れる。
お父さん、ちゃんとご飯食べてるのかな……。
すっかり血の止まった右手の傷にそっと触れる。
「その傷消毒してなかったね、ごめん。薬箱とってくるよ」
「あの、大丈夫です、もう血も止まってますから……」
そう言って立ち上がろうとする棗くんを慌てて止める。
さっき水ですすいだし、痛みもだいぶ引いた。
なのに……胸はずっとチクチクと痛む。
『お前がっ、お前が聖子の代わりに死ねば良かったのに!!なんでここにいるんだ!!』
思い出すのは、お父さんに拒絶されたあの言葉。
胸が痛い……私は、生まれて来なければ良かった?
それなら、どうして生んだりしたの……。


