「美羽、話したいことがあった時は、今度から俺に話して」
「え……?」
突然投げ掛けられた言葉に私は驚く。
棗くんの顔を見つめれば、また優しい笑顔が向けられた。
「もう、美羽は一人じゃない。俺の残りの時間は、きみにあげる」
「……な、棗くん……」
それは、まるでプロポーズのような言葉。
今日会ったばかりなのに、棗くんは誰にでもそんなことを言うの?
それとも、私を慰めるために……?
「ごめんね、変なこと言って……。ただ、美羽のために何かしたいって言うのは本当だから」
「棗くん……ありがとうございます……」
嬉しいのに……。
優しくされる理由が分からなくて戸惑う。
だけど何だろう、この胸の満たされる気持ちは……。
この温かい感情が消えてしまわないようにと、そっと胸をおさえた。


