「先輩……?」

「そろそろ、帰ろっか」


あ……そうだよね、先輩のことずっと引き止めてたら迷惑だ。

だけど……一人は、寂しいな。

先輩に、傍にいてほしいなんて言ったら……だめかな?

あぁ、こんな寂しい気持ちになるなら、恥ずかしくても先輩の腕の中にいれば良かった。

今はまだ、一人になんてなりたくないから……。


そんな気持ちで先輩を見上げていると、フワッとまた笑顔を向けられる。


「そんな迷子みたいな顔をしないで、大丈夫だよ」

「……え……?」


なにが、大丈夫なんだろう。

というか、私迷子みたいな顔してたのかな……。


「ねぇ、美羽さんさえ良ければ……」


だとしたら、心の声が顔にも出ちゃってるみたいだ。

本当に、こんなに気持ちを隠せないことなんてあったかな?

先輩の前だと、笑顔の仮面も無意味なんだと知る。


「うちで一緒に暮らさない?」

「……い、今なんて……?」


私に手を差し伸べて、微笑む先輩。

それに耳を疑って、もう一度聞き返した。

だって、聞き間違ってなければ、先輩は……。