「急いで、須々木さんのご家族に連絡を!!」

「須々木……?」


――ドクンッ、ドクンッ!!

そして、嫌な予感は確信に変わろうとしていた。


「嘘……嘘だよね?……棗くんっ!!」


私は、咄嗟にそこから駆け出す。


ドクドクと心臓が早鐘を打って、呼吸もまともに出来ないまま、ただ棗くんの事だけを思った。


「美羽お姉ちゃん!!」


私を呼ぶ杏ちゃんの声にも立ち止まれず、私はひたすらに棗くんの病室を目指す。


そして、病室の扉を勢いよく開け放った。


――ガラガラガラッ!!

「棗くんっ!!」


すると、そこには大勢の看護師さんとお医者さんの姿がある。

慌てて駆け寄ろうとする私を、一人の看護師さんが止めた。


「今、処置中なの、少し離れててね」

「でもっ、棗くんっ……棗くんは、どうなったんですか!?」

「美羽ちゃん……」


家族の許可なしに詳しいことを話せないのか、看護師さんは言い淀む。


「棗くんっ!!」

それがもどかしくて、私はただ暴れた。

そんな時、病室に誰かが飛び込んでくる。


「棗!!」

「棗、棗は無事なのかっ!?」


すると、そこにいたのは、棗くんのお父さんとお母さんだった。

その後ろには、杏ちゃんの姿もある。