「本当の俺を見つけてくれてありがとう」

「え……?」


本当の、棗くん……?

抱き寄せられながら、私は至近距離で棗くんの顔を見上げる。

「美羽は、俺の強がりを壊してくれた。死ぬのも怖かったし、一人でいるのは、寂しいことだったんだって、美羽の存在に気付かされたよ」


「棗くん……それは、私も同じだよ。棗くんが私の孤独を埋めてくれたんだ……」


私たち、きっと出会う運命だったんだね。

お互いの孤独を埋めたり、時には支えあって心を通わせたり……。

私たちが成長するには、お互いが必要な存在だった。


「俺ね、美羽と出会えたから……この病気に少しだけ感謝してるんだ」

「棗くん……でも、その病気のせいでっ」


棗くんは、私の傍からいなくなっちゃうんでしょう?

それなら、私は……っ。

棗くんの病気に感謝なんて……出来ない。