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「わぁーっ、一面黄色いねっ」

「ハハッ、黄色いって……美羽らしい感想だな」


棗くんの車椅子を押しながらやってきたのは、電車で30分ほどの距離にある、ひまわり畑だった。


「太陽を見上げる花なんて、なんか美羽みたいだろ?」

「え、そうかな??」


棗くんは眩しそうにひまわり畑を見渡す。

その顔が、とても儚くて……。

棗くんは、太陽の光にすら、溶けて消えてしまいそうだった。

だからか、私は棗くんの横顔を、目に焼き付けるように見つめる。


「ひたむきに、辛くても……いつも笑顔で、前を向こうとする。美羽にぴったりの花だなって」


「棗くん……」


そんな風に、私の事思ってくれてたんだ……。


「ここの事、テレビのCMで見た時に、美羽と来たいなって思ったんだ」


風に揺れるひまわりを見つめながら、棗くんが微笑む。

それに、胸がいっぱいになった。


「私も、棗くんと見られて嬉しい」


本当に、この景色……一生忘れない。

棗くんと見たものは、全部私の中に残すんだ。


「美羽、俺は……美羽のために何かできてる?」

「え……?」


棗くん言葉に、私は首を傾げた。

どうしてそんなことを突然言ったのか。

不思議に思って、車椅子の前に回り込んでしゃがみ込む。