「棗くんは……一人じゃないからね……。だから、どんな時も、一緒にいよう」

「美羽……」


辛い時、悲しい時、嬉しい時、楽しい時。

どんな時も、最期まで、棗くんの傍にいるから……。


この時、私は決心した。


この不安に揺れる棗くんのことを、私が支えよう。

棗くんが棗くんらしくいられるように、強くなろう。


「だから、大丈夫だよ……」

「っ……美羽、ありがとう……っ」


いつか、棗くんが私に言ってくれた『大丈夫』。


それを、棗くんにも返した。

どうか、その苦しみが少しでも軽くなります様に。

棗くん……今度は私が、守るからね。

そう誓って、その涙の跡に、自分から唇を寄せるのだった。