「でも、美羽のことを思い出すと、意識がハッキリして、起きなきゃって思う。美羽が、俺を繋ぎとめてくれてるんだ……」


「棗くん……それなら、何度だって名前を呼ぶから……」

「うん、ありがとう……美羽……」


何度だって引き止める。

棗くんが私の前から消えてしまわないように。

そんな気持ちを込めて、棗くんの手を握った。


「美羽、一緒に寝てくれる?」


不安げに私に尋ねた棗くん。

それに頑張って笑顔を作ると、棗くんに向けた。


「うんっ、傍にいるよ」


すると、棗くんは嬉しそうに微笑んで、涙を流す。

私はその涙に手を伸ばして、棗くんがいつもそうしてくれたように、優しく拭った。