「美羽、手を繋ごうか」

「あ、うん!」


差し出された手に嬉しくなっですぐに繋ぐ。

触れる温もりにドキドキしながら、棗くんの横顔を見上げた。


「うん?」


すると、私の視線に気づいた棗くんが私を見て首を傾げる。

その仕草さえ愛おしいと思うのは、惚れた弱みだろうか。

たったそれだけのことが……。


「幸せだなって……」

「っ……美羽、あんまり俺を喜ばせないで」


そう言って、棗くんは私に顔を近づける。

そして、頬に軽くキスを落とした。


「わっ……棗くん!!」

「ハハッ、だって美羽が可愛いからしょうがないよ」


繋いだ手をぶんぶんと振り出す棗くん。

こうしていると普通の恋人で、棗くんが病気だなんて忘れてしまう。

だけど、今日のように一緒に学校へ登校出来る日が……二度と来なくなるかもしれないんだ。

そんな日が来るのが、怖くて堪らない。