【美羽side】


***


棗くんが入院した日から数日。

棗くんは入院を拒んで、今まで通り過ごすことを選んだ。

幸い、痛み止めで痛みがコントロールできていて、定期的な受診のもと、退院を許されたのだ。


「ふぅ……暑いな」

「本当にね、棗くん、体調は大丈夫ですか?」


季節は本格的に暑くなって、私は棗くんと熱い日差しの中、高校へと向かっていた。


「うん、今は大丈夫。念のため、痛み止めも持ってきたから」


棗くんはそう言いながら息切れをしている。

お腹をさすりながら、なんとか歩いているけれど、痛み止めを飲まないと耐えられないほどの激痛があるらしい。


「無理しないでくださいね、私には辛いって言ってください」

「ふっ……うん、美羽に嘘はつかないって約束する」


でも私は……。

棗くんが痛みに苦しんでいても、背中を擦るくらいしか出来ないんだ。

それが、歯がゆくてしょうがない。