「私を好きでいて下さい。その想い……ずっと消さないで……」

「うん……俺の想いは全て美羽に……。だから、最期まで傍にいてくれ……」


そう言って、私達は引き寄せられるように顔を近づける。

お互いの輪郭がぼやけるほどの距離。

かかる吐息に前髪が揺れる瞬間さえ忘れないように……。


「好きだよ、美羽……」

「私も……好きです……」


そっと重なる唇の温もり。


どちらのものなのか、涙が落ちてきて、少しだけしょっぱい。


そんな初めてのキスの味も、この胸の高鳴りと幸福感、相反する悲しみと痛みも……。

私は一生忘れないようにと、棗くんに身を寄せるのだった。