「あの……?」
「あ、あぁ……少しだけ吐き気がして……」
「そうだったんですね……なら休まないと」
そう言って、キョロキョロと見渡す女の子に、俺は慌てて声をかける。
もしかして、休む場所を探してくれてるのか?
この子だって、受験があるのに……。
自分より他人を優先する、優しい子なんだな……。
「いや、俺、高校に行かなきゃいけなくて……」
「あの……その制服、常葉高校のですよね?私、今日受験するんです」
フワリと笑う女の子に目を見開いた。
そうか、うちの高校を受けるのか……。
それに、なんともいえない胸のトキメキを感じた。
「良ければ、一緒に行きませんか?」
「あ、え??」
女の子は突然そう言って、俺に手を差し伸べる。
不思議なことに、無意識にその手を取っていた。
こうして、なぜだか女の子と一緒に高校へ向かうことになった俺は、女の子に手を引かれている。
どっちが年上か分からないな……。
苦笑いを浮かべていると、女の子が俺を見上げてくる。