「うっ……」


急に吐き気がやって来て、俺は口を押さえてしゃがみ込む。

胃の内容物がせり上がってくるような、不快感。

最近、こんな調子で食欲も湧かず、吐き気で毎日怠さを感じていた。

あげく、風疹にかかって3日間くらい高熱を出した後の学校で、正直病み上がりだし、体調は万全じゃなかった。


「くっ……はぁっ……」


こんな時に……。

俺じゃなくても、いいと思うけど……。


何でも、「お前がいれば受験生の士気が上がる」とかいう理由で先生とクラスメイトから無理やり押し付けられた。


……迷惑極まりない話だ。

また、ため息をつきそうになった時……。


「あの、大丈夫ですか??」

「え……」


俺の顔をのぞきこんできた、可愛らしい顔立ちの女の子。

色素の薄い、ブラウンがかった瞳と、揃いの天然パーマの長い髪が視界の中、揺れている。


まるで、天使のように可愛らしい女の子だった。

よく見れば、この近くにある中学校の制服を着ている。