【棗side】


約一年前、寒さはピークを迎える2月のこと。

高校一年の俺は、今日ある入試の係になってしまった。

マフラーを巻いて、コートを羽織った俺は、寒空の下、高校への道のりを歩いていた。



「はぁ……」


息が白いな……。

空には分厚い雲……雪でも降りそうだ。


「あー、緊張するね!」

「うんうん、私手が震えてきたよ~」


俺の横を、中学校の制服を着た女の子たちが追い越す。

今日の受験生かな……。

一年前は俺もあの中の一員だったんだと思うと、時の流れは流れは早いなと思う。


気づけば4月で二年生になるんだからな。


そんなことを考えながら道路沿いの道を歩いていると……。