「きみ、声が聞こえる!?」

「はい……っ」


救急隊の人に運ばれながら、棗くんはなんとか答える。

私も棗くんの後を追って救急車へと向かった。


「なにか、持病はありますか?」


救急車に乗り込むと、救急隊が棗くんに機械を取り付けながら、尋ねた。


すると、話すのを躊躇するように唇を引き結ぶ。

棗くん……?

どうして、そんなに辛そうな顔……。

痛みよりも、何か別のことに苦しんでいるように見えた。


「……秋本総合病院に……行って下さい……っ」

「棗くん??」

戸惑いながら棗くんの名前を呼ぶと、苦しげに私を見つめて……。


「ごめん……美羽」


まるで泣いてしまいそうな顔で、震える声でそう言った。