「でも、お父さんもお母さんも愛し合ってたんでしょう?だから、苦労したってお母さんは幸せだったんだと思う」
「美羽……」
そう、信じたい。
だって、お母さんはいつも言ってた。
「お父さんが生まれてきて、お母さんと愛し合って、私が生まれた……。それって素敵なことだってお母さんが言ってたの」
「あ……あぁ、美羽は待ちに待った俺と聖子の……宝だ」
あぁ……この言葉を聞きたかった。
私は、お父さんの娘でいいんだって、そう思えるから……。
「お父さんっ」
泣いているお父さんに、私は精一杯笑いかける。
「私は……お父さんとの幸せな時間を、後悔をしないように生きたい」
「……美羽と2人で……。そうか、お前は母さんが俺に残してくれた、宝だもんな……っ」
私を見つめて微笑むお父さん。
ようやく、私を一人の娘として見てくれた気がした。


