「それじゃあ行こうか、俺の可愛い天使」

「あ……はい!」


その手を取れば、力強く引き上げられる。

そして、向かう先は迷わずにお父さんの元へ。

棗くんの手の温もりに背を押されながら、私はもう一度家へと向かった。


***


――ガチャリ……バタンッ。

家の扉を開けて、真っ先にリビングの扉を開ける。

すると、その音に合わせて、ソファーに座っていたお父さんが立ち上がった。


「美羽……」

「お父さん……」


しばらく見つめ合うような形になり、何から言えばいいのか、戸惑っていると……。


――トンッ。

背中を、軽く励ますように押される。

「頑張れ、美羽……」

そして小声で囁かれた言葉に、私は笑みが溢れた。


うん、頑張ります……棗くん。

ありがとうございます。

意を決して、私はお父さんの目の前に立った。