「私の傍に棗くんがいてくれるように、私も傍にいます。だから、出来ることがあるなら頼ってほしいんです」
「美羽……」
驚いたように私を見つめると、フッと棗くんが笑った。
「もう、無理して笑わなくて……」
「違う、これは本当に嬉しくて笑ったんだ」
私を気遣って笑ったのだと思った私は、棗くんに注意しようとした。
でもすぐに、棗くんが否定する。
「嬉しい?」
「あぁ、美羽が俺を心配してくれることがね」
「棗くん……そんなの、たくさんします!」
棗くんがくれた優しさには、到底届きそうにはないけど……。
私も、棗くんにこの恩を返したい。
「ありがとう、それなら……水と鞄を取ってくれる?」
「あ、はい……」
言われた通り、私は棗くんに水の入ったコップと鞄を渡す。
すると、取り出したタブレットケースから、錠剤のような物を2粒手に取ると、水と一緒に飲み込んだ。
あれ……薬?
そういえば、前に頭痛薬を処方してもらってるって言ってたっけ。
だけど、今はお腹が痛いんじゃ……。


