「美羽、この飾りは……っ」
何かを言いかけた棗くんが、お腹を押さえて床に座り込んだ。
それが、やけにスローモーションに見えて、一瞬思考がフリーズする。
「くっ……うっ……」
「棗くん!!」
棗くんの声にハッとして傍に駆け寄ると、玉のような汗が額に浮かんでいた。
「お腹が、痛いんですか!?」
「うん……ちょっと……ね……」
こんな時にまで、笑おうとする棗くんに、私は堪らなく抱きしめた。
「こんな時にまで、平気なフリしないで下さい!!」
「え……」
私の腕の中で、棗くんが動揺したのが分かる。
いつもそうだ、棗くんは私に弱みを見せない。
何かあっても、その笑顔の裏に隠しちゃうんだ。
棗くんと出会う前の……私みたいに。


