「なら、美羽のお父さんの誕生日会でもやろうか」

「あっ……」


ちょうど、その話をしようと思っていたところだった。

私の考えを察して、棗くんが先に言ってくれる。

それに、笑みがこぼれた。


「棗くんも、一緒に来てくれますか……?」


一人では、まだ勇気が出ない。

それに、お父さんを前にどんな風に接したらいいのか戸惑ってしまうから……。


「美羽、もう忘れちゃったの?」


棗くんはそう言って、私の頬をスルリと撫でる。

それに驚いていると、クスリと笑われた。


「俺は、美羽のお願いなら何でも叶える。俺は……美羽の笑顔が見たいからね」

「棗くん……」

「一人で怖いなら、一緒にいるって……美羽が一番幸せになれる道を探そうって言ったろ?」


あ……そうだった。

棗くんが、眠る前にかけてくれた言葉……。

そっか、棗くんは最初から私に力を貸そうとしてくれてたんだね。


「誕生日まであと何日?」

「えと、三日後です」

「なら、今日から計画を練らないとね」


パチリとウインクをする棗くんに、私は目を見開く。

私より、どこかウキウキしている棗くんに、胸がいっぱいになった。