「棗くん、家族の絆は、簡単には壊れないって……そう言いましたよね」

「ん?うん、言ったね」

「私が望むなら、いくらだって繋ぎ合わせることができるって」

「うん、出来ると思うよ」


棗くんの言葉に、ホッとする。

棗くんが教えてくれた、絆を繋ぎ合わせること。

そして、その方法は……。


「もうすぐ、お父さんの誕生日なんです」

「え、そうなの?それなら……」


棗くんも私の言いたいことが分かったのか、ニコリと笑う。


「はい、お父さんの誕生日に、何かしたいと思ってて……。お母さんが大切な日だからって、毎年欠かさずにやってたのを思い出したんです」


「そっか……良いお母さんだね」


「はい、自慢のお母さんです……っ」


お母さんのことを思い出して、目が潤んだ。

そんな私を、棗くんが横になったまま抱き寄せる。