そうか!
あたしもこんな風に性格まで変わればいいんだ。
「だよね、祐弥くん、瑠花ちゃん」
由夏さんの笑い方の真似をしてふたりに笑いかけるけど、たぶんこの顔はひきつっていることだろう。
「…は?」
ふたりの声が重なった。
「何も言ってないのに、だよね、なんて言われても困るんだけど」
「つか、何その呼び方キモイ」
そんなにキレッキレなツッコミいれなくても。
「やっぱあたしにはダメか」
「あ、由夏さんを目指したってコト?いいと思う、それならそれで!」
そうつぶやくと、瑠花がちょっと焦ったように言った。
瑠花ってなんだかんだ優しいんだよな。
「ただ、あたしらといるときはそうしてほしくないっつーか…」
瑠花は苦笑いした。
「んじゃ、家帰って練習してくるわ」
結局こういうのはひとりで練習した方がいいみたいだ。
楽しそうな由夏さんの横をすり抜けてあたしは玄関へ向かった。
「あ、そうだ。これからは校門のとこまで迎えに来なくていいから。でもこれからも仲良くしてね!んじゃ!」
そう言ってあたしは祐弥の家から出た。
玄関のドアの向こうで、祐弥が「勝手なヤツ…」と言ったのが聞こえた気がした。


