「はーい、完成!」
由夏さんは突然叫んであたしの肩をぽんと叩いた。
その声が聞こえたのか、洗面所に走ってくる2人分の足音が近づいて来た。
洗面所のドアが乱暴に開けられた途端、瑠花と祐哉は目を丸くした。
「ウソだろ?」
「誰、あんた…」
髪を切った時よりも驚いている2人の顔。
「はい、鏡」
由夏さんはあたしの背後から手鏡を差し出した。
裏返しになっている薄紫色の手鏡。
表にしたら、あたしの顔が映る。
なんだかすごく緊張する。
似合ってるかな。
瑠花も祐哉もあんなに驚くくらいなんだから、全然違う雰囲気になっているんだろう。
新しいあたしと対面できる。
ドキドキした。
なんてことない、ただ鏡を見るだけなのに。


