受験以来二回目の黒染めは茶染めよりも弱い匂いがした。
いつもよりツンとしないその匂いと約二十分をともにした後、頭に乗った黒とも白とも言えない泡をシャワーで流した。
まだ鏡を見ることができないまま、付属のトリートメントを由夏さんに髪に塗りたくられる。
こんなのが入っていたなんて知らなかった。
由夏さんいわく、髪を染めていたんだ髪のキューティクル?を取り戻すんだとかなんとか。
どんな作用があるのか知らないけど、なんだかいい香りがした。
髪をドライヤーで乾かすと、知らなかった優しい香りが部屋に広がる。
短くなった髪に触れると、指が引っかかることなくさらりと揺れた。
わあ、なんだこれ。
本当にあたしの髪なのか?
由夏さんが髪をとかしてくれている間、あたしはずっと自分の髪を見つめていた。


