由夏さんを見ていると、あたしもこんな風に変われるんじゃないかと期待が高まる。
「私みたいに変わりたいんだってね?早速始めましょ!」
そう言って由夏さんが持っていた袋から取り出したのは黒のヘアカラーとハサミだった。
「まずは傷んだ髪を切って黒く染めるところからね」
心なしか由夏さんも楽しそうな気がする。
やっぱりイメチェンというのは見ている人にとっても楽しいことなのだろうか。
私は誰かがイメチェンするのを見たことがないからわからないけど、自分がどう変わるのか、期待8割不安2割というところだ。
そんなことを考えていると、由夏さんはハサミを取り出して私の傷んだ髪を整え始めてくれていた。
下に敷かれた新聞紙の上に落ちる、傷んだ茶色い髪。
それを見ていると、なぜかあの男の子のことが思い出された。
私は彼と同じところに行こうとしてるんだ。
高校は同じだけれど、そういうことじゃない。
髪を切り終えて切った髪がゴミ箱に捨てられた時、今までの自分と別れたような、そんな気がした。


