白い机に白いドレッサー、ピンクのカーテンとくまのぬいぐるみ。
これでもかというほどの可愛い乙女チックなお部屋。
もちろんあたしの部屋ではない。
瑠花の部屋でもない。
当然のことながら、裕哉の部屋でもない。
あたし達は裕哉のお姉さんの部屋に来ていた。
「ごめんね、お待たせ!」
ストレートの黒髪を揺らして小走りで走ってくる、白いカーディガンを着こなした女の人。
彼女こそが裕哉のお姉さん、由夏さん。
ただいま高校3年生で、あたし達のふたつ上。
こんな由夏さんも中学生の頃は髪を裕哉と同じくらいの金に染めて、あちらこちらでケンカをしまくっていた。
あたし達もよく絡んでいたから知っている。
由夏さんが高校生になってからは一度も話してなかったし会っていなかった。
だから2年ぶりの再会ということになる。
噂には聞いていたけど、2年ぶりに再会した由夏さんはあの頃のおもかげすら残っていない。
こんな柔らかい優しい雰囲気の人が2年前には人を殴って蹴って暴言を吐いていたなんて想像もつかない。


