「あたし、ヤンキーやめる!」
「…え?」
理解できないというように公園の中の空気が固まる。
「ヤンキーやめる?どういうこと?美緒何言ってるの?」
「あたし、髪は黒に染める。スカートの下にジャージ履かない。ちゃんと学校指定のリボンもする。普通の女の子として新山高校に通う!」
自分でも何でこんなことを言ってるのかわからない。
でも、あの男の子の顔が、声が、蘇るたびにこのままじゃいけない気がしたんだ。
静かになった公園の中。
どんな反応が返ってくるのかちょっとだけ怖い。
誰も話し出さない公園で、あたしはみんなの視線を集め続けていた。
「いいじゃん!あたし協力する!」
「へ?」
その沈黙を意外な言葉で破ったのは瑠花だった。
「祐哉のお姉ちゃんもヤンキーから普通の女の子にイメチェンしてたもんね!あたしはしないけど、協力したい!」
あたしの手を上下にブンブン振って嬉しそうに笑う瑠花。
意外にも、祐哉や他の仲間たちも笑顔をこぼしていた。
反対されるかと思ったけど、なんだ。
よかったんだ。
「お前のやりたいようにやりゃいいんじゃねぇか?姉貴もそう言ってたし」
あたしの隣で祐哉も笑っていた。
「よし!そうと決まれば黒染め開始!祐哉、あんたんち行っていいでしょ?」
「しゃあねえなあ」
ヘルメットを被った祐哉はあたしに白いヘルメットを投げて渡した。
そして乗れよとでも言うようにバイクに乗った。
あたしのイメチェン計画開始!


