「おい、落ちたぞ」
祐哉があたしのスマホに手を伸ばす。
「画面バッキバキだな。もっと丁寧に使えよ」
「うっせーな、お前」
気にしていたことだから、ついつい強い力で祐哉の肩を押してしまった。
スマホを拾おうとかがんだ体勢だった祐哉はあたしに押されてバランスを崩して転んでしまった。
おかしいな、今まで画面が割れてても何も気にもならなかったのに。
あの男の子のスマホが綺麗すぎたからだ。
「ちょっとー、何ムキになってんのよ」
瑠花がケラケラと笑って祐哉を見下ろす。
その姿を見ていたら、またあの声が頭の中で流れ出した。
『ヤンキーはちょっと苦手かも』
「祐哉ごめん!怪我はない!?」
あたしは地面に手をつく祐哉に駆け寄った。
祐哉はケンカ経験が多いからこんなことされても怪我なんかしないんだけど。
「は?」
本日二度目のみんなのポカン顔。
「ねぇ美緒どうしたの?本当に変だよ」
「あたし……」
呟いたあたしを心配そうに見つめる瑠花が視界に入る。


