「ミコト、待っててね。すぐに・・・」



私がそう言った瞬間、ミコトがグイッと私の身体を引き寄せる。
私の胸元に顔をうずめ、スンスンと匂いを嗅ぐ。

え・・・?



「ミ、ミコト・・・?」




驚き戸惑いながら尋ねる。





「亜子・・・、他の人間の匂いがする。男の匂い」

「え・・・」

「やな匂い。むかつく・・・」

「え、ミ、ミコト・・・?」




グイッと着ていたコートをはぎ取られる。
ちょ、ちょっと待って。

匂いって。
そんな感じる?

私にはわからないんだけど。

男の匂いって・・・、遊佐先輩の匂いってこと?



嘘。



ミコトは妖狐だから、嗅覚も人間より優れてるのかしら。