「昔のこと、思い出したくないなら、無理に思い出さなくていいよ」

「・・・亜子っ」

「でも、もし思い出して辛くなったら私に話して。辛いことも悲しいことも。一緒に立ち直る方法を探すからね」



なんと言えば伝わるだろう。
口で言うのは簡単だ。
でも、それくらいの思いがあるってことは知っていてほしい。


「私を襲うかもって怖いんだよね?」

「うん」

「だったら私、次同じことあったら本気で抵抗する。前は驚きが先で抵抗する間もなかったの」

「おれのこと、傷つけても抵抗できる?」

「難しいかもしれないけど、頑張る。そうじゃないと、ミコトが悲しむなら私はやる」



ミコトが傷つかない悲しまない方法を。
辛いこと悲しいこと。
少しでも減らせるように。

私にそれができるならしたい。
ミコトのため。
ううん、私自身のためにも。



「・・・亜子っ」

「ミ、ミコト」



泣き出したミコトに慌てる。
手を伸ばしミコトの肩に触れる。
その私の手をミコトが掴み、グッと引き寄せる。


私の身体はすっぽりミコトの腕の中。