白銀は、尊になにをしたのだろう。
お昼休憩に見に行った時も、尊は目を覚ました形跡がなく妖狐の姿のまま眠っていた。



妖狐の姿なら、誰にも見えないしずっとここで寝ていても問題はないのだけど。
目を覚まさないことに、不安を覚える。



そして、定時を過ぎ仕事を終えた私は、尊のいる医務室に再び向かった。



「尊・・・?」




コソコソと中を覗く。
誰もいないのを確認して中に入った。


医務室と言っても、医師がいるわけではなく薬箱やら簡易ベッドやらがある部屋。
普段ここに来る人はほとんどいない。

時々、残業が長引いた人が仮眠を取りに来ることはあるみたいだけれど。




「まだ寝てるの・・・」




尊は相変わらず眠っている。
このまま目を覚まさなかったらどうしよう。




目を覚ました時の尊を思うと少し怖いけれど。
このまま目を覚まさないのは、もっと怖い。