全は来客用のソファに陣取っている。
室内のレイアウトは元々あったものをそのまま使っていて、流夜は特にいじってはいない。
本棚がたくさんあるのはよきだった。
「つーか天科サン、在義さんに面倒頼むなよ。しかも天龍(てんりょう)絡みだし」
「……どれだ?」
「………」
忙殺というか、謀殺されそうだな。在義を慕う人たちから。
全は困ったように眉根を寄せる。
「華取翁(かとりおう)なら万事解決してくれるから、つい頼んでしまって……」
「……同年代を翁(おきな)呼ばわりするなよ」
流夜は全を睥睨する。
在義側の流夜は、思わずため息を吐いた。
ちなみに二人とも四十代だ。在義の方が年上ではあるけど。
翁ってじいさんって意味だからな?
在義を知っていても、在義側ではない十三桜はこういう注意はしないから、自分がしておかないと。
「華取翁は風格ありすぎて、年齢とか超越してるだろ」



