「そうかもしれない。今はまだ詰める要素ばかりだがね。

青年が意識を回復すれば真相はすぐに明らかになるが……それは尊くんでもわからないそうだ」


「尊に診察させたんですか?」


「琉奏くんは研究者で専門が違うからね。実践で尊くん以上の医者を私は知らない」


「それは同意ですが……尊はなんと?」


「簡単に言えば植物状態。回復せずに死ぬかもしれないし、今日中に目を醒ますかもしれない。

……無理に起こすことは出来ないと釘を刺されたよ」


「……在義さんは、その青年と逢ったんですね?」


「姿は確認した。呼吸器が動いている以外なにもない病室だ」


「俺に、その場所を教えてもらえますか?」


「それは出来ない」


「なぜ」


「君はこの件(ヤマ)に関しては当事者だ。不用意に被疑者と接触させることは出来ない」


「………」


「だが、私の後継として連れて行くことは出来る。私か龍生、どちらかと必ず一緒ならば、そこへ一緒に行くことを止めはしないよ」


「………」
 

流夜は、ただ頭を下げた。


今の自分はただの『神宮流夜』でなければ、いけないのか。