今日は平日。喧騒の病院。


在義の周りだけ、切り取った空間のようだった。


「………」
 

流夜は黙って、その隣に腰かけた。


在義は組んだ手に額を押し付けた。


「すまなかった」


「いえ……。俺が関わって然るべき問題です」


「そうじゃない」


「……なにがです?」
 

在義は視線を床に向けたまま、続けた。


「迷わなかったんだ」


「………」
 

流夜は黙って続きを待つ。