「事件に対しての俺の立場は旧知に任せるから、もう俺がここに来ることもないだろう。……それでは」 頭を下げたりはせずに、流夜も退室した。 廊下に在義はいない。 先に帰っただろうか。常に忙しい人だから、それも仕方ない。 今の対応が正解とは思えない。でも、あれ以外に言えることはなかった。 ……正直、何も言いたくなかった。 意識があるのとないのだけで、ここまで感情の発生が違うものか――。 「流夜くん」 「―――」 ロビーの椅子に、在義は座り込んでいた。