「青年は現在入院中。意識不明の状態で数年を過ごしている。

青年の家族や知人が病院に来たことはなく、また連絡があったこともない。

青年は暴行事件の被害者。

加害者は現在も捜査中だが、ある程度は絞られている。

その容疑者が割れて、青年の正体もはっきりしつつある。

青年と容疑者は中学時代の同級生だ。

その線から青年の身元の特定が進められている。

が、親族は、青年は勝手に家出をして以降連絡を取ったこともない。絶縁状態だ、と言うことらしい。

青年のもとへ見舞に行く気もないそうだ。――もうわかったよね?」
 

在義は手帳を閉じて机に置いた。


「神宮家から採取された唯一のDNAは青年のものと一致した。

神宮家の事件の容疑者の一人と捜査陣は考えている。

青年らは、当時とって中学生だろう」


「……少年事件、ですか。……在義さんは、その青年を暴行した同級生も絡んでいるとお考えですか?」


「むしろ逆だね。現在特定されている暴行事件の被疑者は三人だが、意識不明の青年がその仲間であった、とは言っても、事件の被疑者とは疑わしい」


「……どういう情報を摑んでおいでですか?」