「咲桜を夜々ちゃん以上に淑やかに育てたかった箏子先生からしたら流夜くん、抹殺対象だからね。君が自分にかけた制約が終わったときは覚悟した方がいいよ」


「………」
 

それって命の終わりの覚悟だろうか。


怖くて訊けない。


在義は瞼を伏せ気味に続けた。


「本当に君のおかげで――DNA片が摑めそうだよ」


「………。――それは、うちのですか?」


「そうだよ。神宮家から採取されたものと一致する青年が見つかった。君が事を大きくしてくれたおかげだ。……私の管轄ではないが、訊くか?」


「はい」
 

決めたのだ。どんな結果であろうと、真っ新になるまで解き挙げる。
 

在義は懐から手帳を取り出した。


警察手帳ではない、在義個人のもの。