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「この先」
訪なうことは龍生にも報告した上で、流夜は在義に同行していた。
今日、この病院を訪れること、降渡と吹雪は知っている。
後から探られるのも嫌だし、二人を経由して咲桜の耳に入るのも嫌だった。
話すなら、自分から。
そう思って、事前に話しておいた。
降渡から、かなり強めに背中を叩かれた。
吹雪には、「そう。頑張れ」と言われた。
吹雪に応援されるなんて、自分はそんな危うい顔でもしていたのか。
ちらっと、先を歩く在義を見る。
……実はもっと危うい人がいる気がする。
「あ、在義さん?」
「なんだ?」
「あの……怒ってます?」
「……は?」
ものすごく胡乱、かつ挑発的な瞳で睨まれた。
完全に怒っていらっしゃる。やばい。逃げたい。在義から。
「怒ってないわけないだろう。ここに来るといつもイライラするよ」
「そ、そうですか……。すみません、俺が頼んでしまったから――」
「言って置くが」



