朧咲夜ー真相ー【完】



「その、そう気落ちするなよ? お前のとこは、時効撤廃に間に合って――


「呼吸器を引き抜いて息の根を止めようとする在義さんを止めるの、マジで大変だった」


「………え?」


「在義さん、すっげえ勢いでそいつのこと憎んでて、『一人で来てたら殺してるよ』って昏(くら)い瞳で言い切られた……」


「……それってお前が起こすべき行動なんじゃないのか?」


「んー、普通ならそうなんだろうけど……なんつーか、特に何も思わなかったんだよなあ」


「流夜らしすぎるな。そこはもっと……感傷に浸ってもいいんじゃないか?」


「在義さんがすげえ感傷に浸ってて、タイミング逃した」


「華取翁が……?」
 

あ、やべ。
 

妻を攫ったヤツだから、とは言えないんだった。


美流子と桃子は別人。


それが咲桜と流夜の間の共通認識だ。
 

全が思いっきり不審そうな瞳で見てくるが、まあ無視しよう。
 

――ついさっき、流夜と在義は病院にいた。