はあ、とため息が出る。
過日――咲桜といちゃついていても在義から叱責を受けなかった日――在義から頼まれたのは、天科全の息子の閃が、天龍の頭目二家の一つ、千歳と蹴りをつけなければいけなくなったから手助けをしてほしいということだった。
天龍の頭目二家。
一つを千歳、一つを影小路(かげのこうじ)という。
今は亡き華取家は、在義が言っていたように拝み屋の家系なので、陰陽道の大家である影小路側となっていたそうだ。
……その対とも言える千歳が関わる問題。
在義くらいでなければ、対応しきれない話では、ある。
流夜たちの育った龍生の家である猫柳家があった場所は、比較的新しく山間に住み着いた人たちの村で、旧い家とは関わりがなかった。
そのために華取一族のことも流夜は知らなかった。
勿論、影小路という家とも縁はない。
在義なら繋がっていそうだけど……全の思うようにはならない人だ。
「そういえばお前、生徒とデキてたんだって?」



