「……ケンは俺には毒しか吐かないから嫌だ」


「あんたの素行不良のせいだろ」


「ヤンキーだったのはケンの方だ」


「そうみたいだけどな」
 

天科全と霧原剣は幼馴染だそうだ。


今は穏やかほわほわしている剣は元ヤンらしいが、だからなんだ。
 

本当、自分を十三への愚痴の相手にしないでほしい。


本棚に背を預けて、全の方を見る。


「天龍のこと、閃が(せん)関わっていることは、よしとしているのか?」
 

向かい合う形になった全は憮然と足を組む。
 

閃は全の一人息子だ。今年高校一年生。咲桜たちの一つ年下だ。


「……同じ学校に千歳(ちとせ)の息子――一応ではあるが――いることは知っていたからな。閃が目を付けるとは――思っていたけどな」


「想定済みならそっちで処理しろよ」
 

本当言動がいちいちイラッとさせる。


「手に負えん。千歳は治外法権だ」


「手に負えねえなら閃で歯止めかけろよ」