でも、咲桜ちゃんも必死に生きていることに気付いた。

咲桜ちゃんがいつの頃から気づいていたかはわからない。

でも、在義兄さんの娘として認められるためにがんばっていることに気付けた。

パンッと、自分の両頬を叩いた。

幼い咲桜ちゃんがこんなに頑張って生きているのに、私がいつまでも悲壮にかられていてどうするの。

私は桃ちゃんと咲桜ちゃんに求婚した身よ? それは桃ちゃんと咲桜ちゃんの一生を、私も守りたいという決意だったはず。

私が腑抜けている場合じゃないわ。

気合を入れ直して、私はまた、『私』を生きることを取り戻した。

私の部屋にはいつも飾ってある写真がある。

うちの庭で、私と桃ちゃんが腕を組んでいる写真。

桃ちゃんが、花のような笑みを浮かべている。

その写真立てと、写真立てのふちの飾りにかけている、桃の花と月が並んだストラップ。

これは、桃ちゃんがくれたもの。『お揃い……』と、恥ずかしそうに渡してくれた。

桃ちゃんが、いつでも傍にいてくれるような気になるわ。

……私のお話はここでおしまい。

結局のところ、私は在義兄さんがすきだったけど、それ以上に桃ちゃんと咲桜ちゃんが大好きになってしまったのね。

桃ちゃん、私、桃ちゃんと過ごして幸せだったわ。

桃ちゃんはどうだったかしら。

……いつか逢う日が待ち遠しいけど、それは出来るだけ先でありたい。

だって、咲桜ちゃんの幸せを見届けて、桃ちゃんにたくさんお話したいから。

また、二人でお話しましょう。

私の大好きな桃ちゃんへ。