……傷付いても、一緒にいる未来をかけている。
 

定時まで咲桜ちゃんは事務所にいて仕事を終えた。咲桜ちゃんを見送った絆は、深く息を吐いた。


「降渡」


「!!!」
 

びくっと肩が跳ねる。ああー……お怒り、ですよね……。


「ごめん」


「何か悪いことしたと思ってるの?」


「……咲桜ちゃんとりゅうのこと、黙ってた……」


「黙ってたことを悪いって意識があるならいいわ」


「……怒ってる、よな?」


「別に怒ってないわよ。咲桜の出生とか、少し聞いてるし。……神宮が惚れてるんなら、咲桜をむげにしないんなら、それでいいわ」


「しないよ。咲桜ちゃんは、りゅうが自分で見つけた大事なものだ」


「……そう」


「うん」
 

総てを捨てても、りゅうは咲桜ちゃんだけを選ぶ。

それくらい、わかる。 

だからどうか、早くまた出逢ってほしい。

……これ以上、咲桜ちゃんが独りで泣くこと、お前はいやだろう?
 
お前しか、無理なんだよ。