「咲桜が謝ることじゃないわ。一応だけど、神宮から謝罪も受けてるし。あたしも高校生んときのことを赦してないわけじゃないわ。

ただ単に神宮がいけ好かないだけよ。咲桜に怒ってるわけでもないわ。だから~~~あーごめん。ほんと今のはなかったわ……」
 

絆が落ち込んでしまったので、そろそろ出て行くか。


「絆。りゅうさ、咲桜ちゃんのこと、絶対幸せにするよ」
 

俺が言うと、疑わし気に睨まれた。


「ほんと。俺とふゆが保証する。『咲桜』ちゃんと出逢ってから、りゅうの選択肢の先には、いつも咲桜ちゃんがいた。

むしろ、咲桜ちゃんがいるからその道を選んでいるくらいだ。絆にりゅうを信用してくれとは言わない。

でも、咲桜ちゃん自身が『幸せ』だと思っていることは、否定しないであげてほしい」
 

咲桜ちゃんもまた、りゅうと生きるためにこの法律の世界を選んだ。
 

二人の間に横たわる問題は大きすぎる。


戸籍上はなんの関係もないし、咲桜ちゃんは在義さんの長女として届け出が受理されている。


だから、二人がそれをゆるしてしまえばそれまでなんだろうけど、そこにたどりつくまで、りゅうと咲桜ちゃんはどれだけ傷付くのだろう。