桃子と、生まれた咲桜は、それは頑張っていたわ。


夜々子との仲もよくて、桃子とわたくしも険悪にはならなかった。


ただ、咲桜への対応は少し困っていました。


不甲斐無くもわたくしが、厳しくし過ぎるのと、でも甘い顔は出来ないのとの狭間にはまってしまって、嫌われていると思わせてしまったみたい……。


それでもわたくしにあったのは咲桜を在義の娘として強く育てること。それを第一に考えていた。
 

その狭間をぶった切ってきたのが、在義の後継者にして、在義が咲桜の相手にと認めた人。


……とんだ化物だわ。


でも、彼ほど強くないと……咲桜を護り切れなかったかもしれない。愛し続けられなかったかもしれない。


咲桜が生きていることを捨てなかったのは、好いたのが彼だったからにほかならない。
 

桃子が逝って、もう何年かしら。


お前の娘は、強すぎるくらい強くなったわ。


まったくお前は、この年寄を置いていってしまうのだから。


でも、まだ迎えに来ては駄目よ。もう少し待っていなさい。


もうすぐ、お前の二人目の娘が生まれるわ。


咲桜が夜々子の娘なら、夜々子の娘も、お前の娘でいいでしょう。
 

お前の家族は今日も笑っているわ。


お前が愛したもの、総てが光の中よ。


だからお前もずっと、その中にいなさいね。