「結婚するって言ってから随分経ったなとは思っていたんだが……」


「司法修習期間とか、ずっと絆先輩が忙しかったから延びちゃったんだって。今になったのは、絆先輩に赤ちゃん出来たから、お腹が目立つ前に、だって」


「……そうだったのか」


「赤ちゃんのこと、降渡さんから聞いてなかったの?」


「聞いていないと言うか……なんか会うたびにやついてるっつーか浮かれてはいたから、そういう可能性は考えてた」


「ああ……わかられてるから話さなかったんだね」
 

どっかで爆弾落とす気だったな、あの人。


「だからさ、今度赤ちゃんのお祝い探しに行かない?」


「そうだな。在義さんと朝間せん――ややこさん……のこともあるし、急に賑やかになるな」


「嬉しいことはいくらあってもいいよ」


「……そうだな」
 

流夜はまた、柔らかい笑みを見せた。
 

急に咲桜が護りたくなるのは――大すきな人が、そう、穏やかに微笑んでいてくれるこんな瞬間だ。


願う。


こんな穏やかに賑やかな日々を、重ねていきたい。