『なんてゆうか……よくそんな人と兄弟名乗ったり相棒とか言ったりするね……』
 

こっちも神経図太いのか。


斎月はさらっと答えた。


『遠い日の因縁?』


『百パー悪い方向じゃん。斎月、流夜くんに騙されてない? 主咲くんがいるんだから早めにまともな方向戻りなよ?』


『先に騙したのは私だから、私の騙しのが勝ち越してる』
 

勝ち誇った顔をされた。


『本当妬き甲斐がないね……』
 

彼氏――だった人――が一等の位置に置いている、しかも女の子なのだから、本来ならもっと嫉妬の対象になるんじゃないかと思う。


けどこの子ときたら……レベルかステージかが違い過ぎて、諦めの瞳しか出てこない。


『騙してた、って、本当は女の子でしたーってやつ?』


『一つはね。もう一つは、私も父さんとは血が繋がっていないってこと』